燃料電池車の将来性は疑問〜日産、テスラ首脳

 自動車業界では、コストや安全性、航続距離、充電施設の整備に関する懸念から販売が頭打ちとなっている電気自動車(EV)に代わる新技術として、一部で燃料電池車の開発が進められている。しかし、日産やEV専業テスラ・モーターズの経営首脳は燃料電池車の将来性を疑問視している。

 ブルームバーグ・ニュースによると、日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は、東京モーターショーで「こうした車は燃料の補給所が少なく、必要なインフラの建設は非常に難しい」と語った。テスラのイーロン・マスクCEOも先月「燃料電池車は、複雑すぎてコストがかかりすぎるほか、水素のほとんどは天然ガスから作られるため十分にクリーンではなく、機能するテクノロジーにはなり得ない」と発言している。

 ゴーン氏は早くからEVを代替エネルギー車として推進してきたが、「EVは消費者が充電施設の増加を待つ一方、投資家は販売が増えるのを待つという状況が続いていて売れ行きが鈍い。燃料電池車も同じような問題に直面するのではないか」と述べた。

 トヨタとホンダは2015年までに水素燃料電池車を発売すると公言しているが、ゴーン氏はこの技術に対する消費者の受け入れ態勢が整うのは20年以降と見ており「ライバルは15年には燃料電池車を大量生産すると言ったが、非常に興味深い。インフラはどこにあるのか、誰が造るのか」と疑問を投げかけた。

 燃料電池車の開発では現在、トヨタがBMWと、ホンダはGMと、ルノー/日産はダイムラーおよびフォードと提携している。東京モーターショーで燃料電池車の試作品を発表したトヨタの小木曽聡・常務役員は「向こう5年間は特定の技術が優勢になることはなく、異なるさまざまな環境テクノロジーが使われると考えており、トヨタとしてはどんな需要が高まって来ても対応できるよう準備している」と話した。

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