福島の放射性物質、北米西海岸に〜バンクーバーでセシウム検出

 事故を起こした東電・福島第1原子力発電所から流出したとみられる放射性物質が、カナダの西海岸に流れ着いたことが分かった。米国地球物理学連合(AGU)の海洋科学会議でこのほど、ベッドフォード海洋学研究所(カナダ)の研究員が報告した。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、バンクーバーの海岸でこれまでにセシウム134とセシウム137が検出された。濃度はカナダの飲料水の安全基準を大幅に下回る。セシウム137の半減期は30年だが、セシウム134は2年と短いため、比較的最近流出したものと考えられている。

 ウッズ・ホール海洋学研究所(マサチューセッツ州)のケン・ベセラー上席研究員によると、福島第1原発から流出した汚染物質は太平洋を渡って今年米西海岸に漂着する可能性があるが、複雑な潮流の動きなどで濃度が変わり、コンピュータ・モデルだけでは予想できない可能性が高い。

 ベセラー氏は8カ所から海水標本を採取しているが、セシウム134はまだ検知されておらず、今後検知されたとしても太平洋を横断して北米西海岸に漂着するまでに汚染は大幅に薄まるため、海洋生物に大きな影響を与える可能性は低いとみている。

 氏は、いずれにしても観察の継続が重要と考えており、海水標本の分析を続けるためインターネットを通じて多くの人に協力を呼びかけている。

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