実燃費とカタログ燃費同じに〜EPA、路上測定義務づけを提案

 自動車ディーラーのステッカーなどで表示される新車の燃費が誇張されているという苦情の増加を受け、環境保護局(EPA)はカタログ燃費と実燃費の差をなくすため、風洞実験など施設でのテストだけでなく、実験コースでのテスト実施をメーカーに義務づけることを提案している。一般の意見収集を経て導入される見込み。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、EPAは長年この問題の是正に取り組んでおり、2008年に実験方法を調整して状況はかなり改善されたものの、最近あったフォードや現代自動車、起亜による燃費の過大表示で苦情が殺到したことを受け、当局は今回の提案に踏み切った。

 すべてのメーカーはコースでの燃費測定を行っているが、EPAが目指すのは実験コースの空気抵抗や転がり抵抗も測定するという厳密な方法で、好ましい結果が出るような操作がしにくくなる。特にハイブリッド車(HV)のように燃費の良いモデルでは、測定方法をわずかに変えただけで結果が大きく変わる可能性がある。

 実際にフォードは今年6月、路上測定によって従来の測定方法に手違いがあったことが分かったとして、HVを中心に2013〜14年型の6モデルで燃費の誇大表示を認め、数値を訂正した上で所有者には燃費の差額として最高1050ドルを支払うことを決めた。またEPAは12年、消費者からの苦情に基づいて現代と起亜に多数のモデルの燃費表示を引き下げるよう指示。 この問題は後に集団訴訟に発展し、所有者は走行距離に応じて燃費の差額を受け取っている。

 EPAは新車の燃費をすべて測定しているわけではなく、ほとんどの作業をメーカーが行い、EPAはその数値を確認しているにすぎない。現在は、他の車でも再現が可能な条件の下で模擬運転する5種類の実験をメーカーに義務づけており、新車のうちEPAが実験してメーカーの測定値を確認するのは約15%程度となっている。

 一般走行では、各メーカーともHVの実燃費が実験値より悪く、ディーゼル・エンジン車は実燃費の方が良い傾向にある。またその差は約5マイル/ガロン(mpg)と非常に大きいため、EPAの交通・大気部門責任者クリス・グルンドラー氏は、なぜ実験値と実燃費にこれほどの開きがでるのか調べるよう、技官らに命じている。

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