4大プロバイダーが市場を掌握へ 〜 パプリック・クラウド業界の勢力地図

 米国の4大クラウド・サービス企業は、向こう数年間でパブリック・クラウド・ホスティング市場を激変させる可能性があり、同市場のほとんどがそれら4社に占められると予想される。

 データ・センター・ノーレッジ誌によると、同業界ではこれまで、クラウド市場と言えばアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)が圧倒的最大手と位置づけられてきたが、今後はAWSに加えて、マイクロソフト、グーグル、そしてIBM傘下のソフトレイヤー(SoftLayer)の4社によって形成されると指摘される。

 それらの4社には、1)いずれの企業も潤沢な資金を持ち、2)利益を生み出す別事業を持つ、3)価格がほぼ同等、4)提携企業と協調して巨大な生態系を形成、5)末端利用者にに直接アピール、6)顧客や提携企業の研修や教育に莫大な費用を費やしている、という6つの共通点があり、ローカル・データ・センターが提供するサービスとは異なる差別化が明らかに図られている。

 4社はまた、利益を挙げているほかの事業と絡み合わせながらクラウド事業を成長させていくことも可能だ。

 一方、顧客は、気がついた時には、各社の生態系の一部に組み込まれ、ほかの業者に鞍替えすることが難しくなっているという構図だ。

 4社は価格の面でも他社に比べて優位に立つ。体力のある4社は、価格を安く設定して顧客を取り込み、最終的に粗利益率の高い高付加価値のサービスを提供できる。

 4社は、莫大な資金をクラウド事業に投資している。たとえば、2013年における4社のクラウド事業投資総額は270億ドルに達した。なかには、四半期ごとに10億ドル単位の巨費を投じているベンダーもいる。

 パブリック・クラウドに移行する企業が増える一方で、そのシステムは非常に複雑で、そのため、顧客とクラウドのあいだを仲介し、操作や保守管理を簡便化することで新たな市場が開拓できることになる。

 もはや、企業がクラウドに移行するか否かが問題ではなく、移行する時期とどのベンダーを選択するのかが重要になっている。

 複雑化するクラウドに対して、利用企業は、単一プラットフォームを採用することで簡便化を図るのか、あるいは複数のクラウド・サービスを扱う仲介業者を利用することになりそうだ。

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