タブレット端末の将来は?〜販売減っても重要な役割

 タブレット型多機能端末は最近、販売の減速が続いているが、市場最大手のアップルにとって、同部門を切り開いた「iPad(アイパッド)」は依然として重要な役割を果たしている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、市場調査IDCのデータでは、2014年第2四半期のタブレット世界販売台数の増加率は8.4%で、前年同期の58.5%増から大きく減速。アップルのシェアは約28%、2位のサムスン電子は18%となっている。

 減速の一因としては、商品の大部分がスマートフォンより高価で、買い替え周期が3〜4年とスマホ(2年)と比べて長い点が挙げられる。また、ほとんどの商品はスマホと違って通信サービス会社(キャリヤー)の支援なしで売られている。

 アップルは、他社のように値下げせず高価格を維持しているため、低価格のタブレットがさらに増えればシェア縮小が続く可能性が高いが、同社にとってアイパッドがもうけの多い重要部門であるためには、販売台数で市場を支配する必要はない。14年4〜6月期のアイパッド販売は前年同期比で9%減少したが、平均販売価格は約2%上昇しており、スイス金融大手UBSは「粗利益率は13年10〜12月期の25%から30%に上昇した」と推定する。

 また、アイパッドはアップルの携帯端末用基本ソフト(OS)「iOS」を普及させる重要な手段であり、楽曲販売アイチューンズ、ソフトウェア、サービスの売り上げは6月28日までの9カ月間に14%増と、社内最大の急成長分野となっている。

 アップルが今秋に新型アイパッドを発売するとのうわさがある一方、IBMとの提携で業務用のソフトやサービスの開発も進められており、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「タブレット部門はまだ成長の初期で、これから大きな技術革新を提供する計画」と発言している。

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