IBM、ワトソンの利用拡大を目指す 〜 学者向けの研究支援サービスを発表
- 2014年8月29日
- ハイテク情報
IBMは、人工知能ワトソン(Watson)の利用拡大を目指して、新たなクラウド電算サービス「ワトソン・ディスカバリー・アドバイザー(Watson Discovery Advisor)」を発表した。
ワトソンは、同社の高性能サーバー「パワー(Power)」で稼働する高度のアルゴリズム群とソフトウェア群で構成される。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、新サービスは、研究者たちが大量のデータのなかから新しい研究案を発掘することを支援する。
たとえば、同サービスを試験的に導入しているヒューストンのベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)では、7万件の学術論文から特定タンパク質に関するデータを抽出し仮説を構築して、それを科学者が検証できるようにした。
ベイラーの例では、多種多様のがんに関与するタンパク質「p53」が変形してできた複数の派生タンパク質を生物学者が同定できたという。
IBMのワトソン事業部門上席副社長ジョン・ゴードン氏によると、ワトソンを利用することで、社内秘の情報から有益データを抽出して、一般に公開されている科学データと組み合わせることも可能だ。
ワトソンは、従来のコンピュータのように単純にプログラムを実行するのではなく、データや分析内容から学習できるのが特徴。
ただ、IBMは、これまでに巨額が投資されたワトソン事業から大きな利益を得ておらず、業界専門家の一部からは、ワトソンがどのように売り上げるのか果たして疑問という厳しい見方も指摘される。
IBMによると、ワトソンに関心を示している一社にジョンソン&ジョンソンがあるが、詳しい活用方法は明らかにされていない。
IBMは、医療関連での活用にとどまらず、経理や法務、エネルギーといった多岐にわたる業界や業務での利用価値を高めて企業に売り込む方策を模索している。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年3月28日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ウェイモ、テキサス州で社員向けロボタクシー運行
-
ハーバード大、急速充電が可能なリチウム金属電池を開発
-
2024年3月21日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
6割がブランドより接続性重視~EVドライバー調査、マッキンゼー
-
2024年3月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
少しの「つながる車」情報で信号機のタイミング調整
-
2024年3月14日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
自動車メーカーにもDV防止法適用を~FCC委員長が提案
-
2024年3月11日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
クレジット・カード大手ビザのオンライン不正防止策 ~ 人工知能技術の活用を強化、リスク管理製品群を運用
-
北米ロボット受注が一段落~23年、景気減速で6年ぶり減少
-
2024年3月4日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
米国で電動モデルの人気上昇~CRの優秀車10選に7種
-
IT業界リーダーら、サンフランシスコに回帰
-
2024年2月26日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ウェイモ、加州でAV事業拡大を計画~議員は阻止に向け法案提出