DCIM業界で企業統廃合の波 〜 パワー・アシュアの廃業で強まる寡占化
- 2014年10月24日
- ハイテク情報
データ・センター基幹設備管理(DCIM=data center infrastructure management)ソフトウェア業界で企業の統廃合が進んでいる。
DCIM市場は比較的新しいにもかかわらず、2013年にはコムスコープ(CommSope)がアイトラックス(iTRACS)を買収し、2014年初めにはパンドゥイット(Panduit)がシナップセンス(SynapSense)を買収した。
最近では、新興企業のパワー・アシュア(Power Assure)が資金調達に失敗し、廃業に追い込まれた。同社の事業閉鎖はエネルギーや技術、金融業界の関心を集めている。
データ・センター・ノーレッジ誌によると、小規模のDCIM企業同士が提携、あるいは大手企業がDCIM企業を買収し、DCIM製品を強化したうえで包括的基幹設備監視および管理ソフトウェア・スイート製品の提供に乗り出す例もみられる。
パワー・アシュアは電力管理に注力する企業で、稼働中のアプリケーションによって最適のサーバー容量を計算し、不要の容量を自動的に遮断する技術を提供していた。
最近では、特定地域における特定時間帯の電力供給量とその質にもとづき、アプリケーション処理業務をデータ・センター間で動的に移行する「ソフトウェア定義電力(software-defined power)」という新概念を推進していた。
調査会社IDCのジェニファー・コッピー氏はパワー・アシュアの電力管理技術について「非常に先進的」と評価し、同社の廃業を「(同社の画期的考え方に)市場がまだ追いついていないため」と分析する。
パワー・アシュアが提唱する技術は実際、データ・センターに対する考え方を根本から覆すものだ。パワー・アシュアのものを含めDCIM市場は多くの画期的事業案であふれているにもかかわらず成功例は限られる、とコッピー氏は指摘する。
パワー・アシュアも当初は多くの投資家や政府から支援を受けたが、それも長続きはしなかった。
同社は2009年に250万ドルを調達し、その後も2010年に1125万ドル、2011年に1450万ドルを調達。2010年にはエネルギー省から500万ドルの助成金を獲得した。
同社はまた、VMウェア(VMware)、シスコ(Cisco)、IBMを含む複数の大手企業と事業提携も結んでいた。
調査会社451リサーチ(451 Research)は、DCIMが大手法人向けソフトウェア市場の急成長分野の一つであり、2018年までに18億ドル規模に達すると予測する。
451リサーチはその一方で、10社程度の大手企業が市場の大半を独占すると分析。DCIMの売上高が年間2億ドルを超える企業はわずか数社にとどまり、市場の大半を構成する小規模企業の売り上げは400万ドル未満という見方を示している。
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