救助ロボット、課題は電力効率 〜 ダーパ主催の競技会決勝、6月に迫る

 ロボティクス技術の劇的進化が最近大きく取り上げられているが、世界的に普及するには、エネルギー効率を大幅に高める必要があると指摘される。

 国防総省高等研究計画局(ダーパ、DARPA=Defense Advanced Research Projects Agency)は、世界中から集まった25チームが二足歩行ロボットの技能を競い合うロボティクス・チャレンジというロボット競技大会の決勝戦を6月に開催する。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ロボティクス・チャレンジは、東日本大震災を受けてダーパが発案し、10年後の実用化を目指して、災害時に活躍する救助および救援ロボットの技術開発を目指すもので、優勝チームには200万ドルの賞金が与えられる。

 予選後に改定された競技規定によると、ロボットは内蔵電源によって機能することが義務付けられている。予選までは、外部電池を電源としていたため、大きくて重い電池とロボットがケーブルで接続されていた。

 しかし、決勝戦ではそれが認められないため、ロボットに搭載された小さな電池の限られたエネルギーを使って、障害のあるコースを前進しながら規定作業をいかにこなせるかが、勝負の分かれ目になる。

 ロボティクス・チャレンジの担当者は、「もっとも優れた機種でもエネルギー密度は、人間が食べる糖や脂肪より約10倍低いうえ、エネルギー消費効率が動物よりはるかに悪く、同じ作業を遂行するために100倍のエネルギーを使うため、多くのロボットが動かなくなる」と予想する。

 ただ、リチウムイオン電池の発達によって数時間くらいなら動き続けられる場合も考えられる。出場ロボットは、8つの作業(テスト科目)を実行することが競技内容として規定され、それに要する時間は1時間ほどと予想される。

 競技内容には、1)がれきのなかでの車の運転、2)がれきをよけながら栓を閉める、3)倒壊しかけた建物のドアを開けて内部に進入、4)はしごの昇降、といった動作が含まれる。

 また、転倒した場合には自力で立ち上がって競技を続行できなければ減点される。予選までは、参加チームがそれぞれのロボットを遠隔操作できたが、決勝ではコントローラーによる手助けはできない。

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