投資家ビザの申請急増〜処理遅れ、現在「2年待ち」
- 2015年7月2日
- アメリカ発ニュース
米国永住権(グリーンカード)が投資で取得できる「投資家ビザ制度」(EB-5)で、申請の処理やビザ発行の遅れが目立っている。EB-5は中国人に人気があるが、最近はブラジル、ロシア、ベトナムといった国からの関心が急速に高まっているためだ。
ウォールストリート・ジャーナルによると、EB-5は外国人の投資を通じた国内の雇用促進を目的に1990年に導入された制度で、失業率が高い地域で50万ドル以上の投資を行い、10人以上の雇用を生み出した投資家とその家族に永住権が与えられる。
雇用や血縁を介した通常の方法による永住権取得には10年かかることもあるが、EB-5では1年かからないこともある。データがまとまっている2013会計年度(12年10月〜13年9月)は、20億ドルが建設、映画、鉱業分野などに投資された。
EB-5ビザの申請件数は、06年度に486件だったのが13年度は6346件、14年度は70%超増えて1万928件となっている。14年度の申請者の約80%は中国人だったが、他国からの申請も急増したため対応が遅れ、未処理件数は約1万3700件に上っている。現在、中国人投資家はビザ取得に2年近く待たなければならない状態で、今後はさらに待ち時間が長くなる可能性が高い。
最近になってこの制度に注目し始めたのはブラジル人で、フロリダのコンサルティング会社オックスフォード・グループのカルロ・バルビエリ社長によると「3年前には半年に2件程度だった問い合わせが、今は月30件に上る」という。ブラジルの政権や経済を揺るがした政治スキャンダルが影響していると見られる。
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