ウイルス対策ソフトは死んだ〜シマンテックも方向転換

 コンピュータ・ウイルス対策ソフト大手シマンテックはこのほど、ウイルスの侵入防止は不可能と認め、業務の軸足を「侵入の発見と被害の抑制」に移すことを明らかにした。

 シマンテックのブランアン・ダイ上席副社長はウォールストリート・ジャーナルに対し、現在ウイルス対策ソフトで対応できているのはサイバー攻撃の45%に過ぎないと指摘しながら「ウイルス対策ソフトは死んだ。もう収益源にはなり得ない」と述べた。

 同社は現在、ハッキング被害に遭った企業向けの対策チームを組織しており、6カ月以内には特定の脅威に関する情報サービスを始める計画で、依頼人はハッキングされたかどうかだけでなく、その原因も分かるようになるという。また、ネットワーク内に侵入した高度な不正ソフトの検索技術も開発している。

 同様の動きは業界全体に広がっており、ネットワーク機器メーカーのジュニパー・ネットワークスは顧客企業に対し、ハッカーが重要情報と間違えるような偽データを自社ネットワーク内に置いておくよう指示しているほか、新興のシェイプ・セキュリティはハッカーが暗証番号やクレジットカード番号を盗むという前提で、情報が盗まれても使用を困難にする方法の開発に取り組んでいる。

 またファイヤーアイは、ネットワークをスキャンして最初の防御線を突破した不正コードを見つける技術を開発しており、最近はデータ侵害後の対応技術を開発するマンディアントを10億ドルで買収した。

 シマンテックは2四半期連続で売上高が減少し、8日に発表される2014年1〜3月期売上高は前年同期を5%以上下回る16万2000〜16万6000ドルとなる見通し。3月にはスティーブ・ベネット最高経営責任者(CEO)が解雇され、2年間に2回もCEOが辞任している。

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