SAP、中小企業にハナを売り込むも反応は鈍い 〜 価格の高さが障害に
- 2014年11月25日
- ハイテク情報
SAPは先日、中小企業を対象にニューヨーク市で開いたビジネス会議において、事業を成長させるためには大規模データ(Big Data)とクラウド電算、そしてモビリティーの3分野を強化する必要があり、同社のハナ(Hana)プラットフォームがそれに貢献できることを強調し、中小企業へのハナ売り込み強化路線をあらためて明示した。
コンピュータワールドによると、大企業の一部ではハナは高く評価されているものの、中小企業での導入が同社の期待に反して低迷している。
モノのインターネット(Internet of Things=IoT)によって生成される膨大な量のデータが職場にあふれているが、それらを迅速かつ効果的に分析しなければ事業に役立てることはできないため、クラウド版のハナ・プラットフォームによって、リアルタイムでのデータ分析を経営および運営上の意思決定の有益材料を得ることができる、というのがSAPの触れ込みだ。
油圧システム向け液体を生産するリンチ・フルイッド・コントロールズ社(カナダ拠点)は、同社の製造機械群から生産関連データを収集しており、それらのデータを安全に保存できるクラウド・サービスを慎重に探している、と話す。
それらのデータをリアルタイムで分析できれば、機械の管理と生産計画を効率化できる、と同社は考えている。何週間または何ヵ月か待てば月間あるいは四半期の統計データが出てくるが、競争に勝つための意思決定を下すためにはそんなに待っていられない、と同社のギャヴィン・リンチ最高情報責任者(CIO)は指摘する。
そういった需要機会をハナの販促に結びつけようとSAPでは中小企業市場の開拓を以前から狙っているが、ハナの高額さが障害となって中小企業市場をほとんど開拓できていない。
米SAP利用企業グループ(Americas’ SAP Users’ Group)が実施した調査によると、会社がハナ製品を購入したことがあるかどうか聞いたところ、377件の回答のうち55%は買っていないと回答した。40%は購入と答え、5%は不明と答えた。
ハナ製品を買っていないと答えた顧客企業のうち75%は、ハナの高コストを正当化できるほどハナを活用しないという理由を挙げている。
SAPでは10月以降に、ハナ導入過程を簡素化することでハナ販売刺激策を実施している。
同社は、顧客企業の約80%を占める中小企業のために、ハナ製品をいくつかに分割して売ることを提携販売業者たちに認めた。その結果、中小企業は高額のサーバーを購入する必要がなくなり、1万ドル以下でハナの限定版を導入できるようになった、とSAPは説明している。
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