原油安、電力会社にも恩恵〜産業用の電力需要高まり
- 2015年1月23日
- 米国ビジネス
国内の石油・ガス増産を受け、工場の新設や拡張が増えた影響で、長年低迷していた産業用電力の需要が伸びている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、南部州では天然ガスや電気の値下がりで重工業に活気が戻り、ルイジアナ州を本拠とする電力大手エンタジーがその恩恵にあずかっている。鉄鋼メーカーのビッグ・リバー・スティールは昨年9月、アーカンソー州オセオラで13億ドルの新工場建設を始めた。巨大な電気炉で鉄くずを溶かし、年間160万トンのフラットロール製品を作る計画で、新工場を同地に置く最大の理由はエンタジーが安く電力を供給しているためだった。
エンタジーは、アーカンソーのほかテキサス、ルイジアナ、ミシシッピでも電力を供給しており、最新四半期の電力需要は、住宅用は前年同期比で0.2%減少、商業用や政府向けも0.9%増にとどまったのに対し、産業用は5.3%も増加した。
テキサスからミシガン一帯でサービスを行う電力大手アメリカン・エレクトリック・パワー(AEP、オハイオ州)も、14年7〜9月期は産業10種のうち8種で消費量が前年同期より増えた。シェール・ガス生産が行われている郡の産業用電力売上高は前年同期比で28%も増えているといい、ニック・エイキン最高経営責任者(CEO)は「特にテキサスとオハイオで増加が目立つ」と話す。
全米の産業用電力売上高は08年末から減少が始まり、09年半ばまでのリセッション(景気後退)で激減。10〜14年は増加したものの、リセッション前に比べると5%減の水準だった。エネルギー情報局(EIA)は15年の電力販売について、住宅用は横ばい、商業用と産業用は増加を見込んでいる。
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